『007 慰めの報酬』感想/007…ではない

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2008年公開
スタッフ
監督
製作
製作総指揮
カラム・マクドゥガル
アンソニー・ウェイ
原作
脚本
ニール・パービス
キャスト
 

あらすじ

愛する人を失ったジェームズ・ボンドダニエル・クレイグ)は、彼女を操っていたミスター・ホワイト(イェスパー・クリステンセン)を追及するうち、新たな悪の組織の陰謀を知る。それは謎の組織の非情な男、ドミニク・グリーン(マチュー・アマルリック)が南米のある政府の転覆と同地の天然資源を手にして、世界を支配しようとするものだった。
 
シネマトゥデイ(外部リンク)
 

感想

断っておくが、この作品思い入れが強い。初めてひとりで映画館に行って、ひとり映画を楽しんだ作品。当時は高校生で、やっている劇場を調べて、ひとりで劇場まで行き、ほとんど貸し切りの状態で観たのが『007 慰めの報酬』。『007 カジノ・ロワイヤル』が楽しかったので観たかったこともあるが、007シリーズって大人が観るイメージがあって、ひとりで007を観に行ったら大人…と勝手に思っていた。なので、『007 慰めの報酬』を観たあの時は自分の中では大人になった瞬間。その思い出の映画が今作。
思い出話はその辺にして、作品についてだが、これはただの凡作。前作『007 カジノ・ロワイヤル』でジェームズ・ボンドが誕生したのに、何でそれをこねくりまわす必要があるのか?『007 カジノ・ロワイヤル』の残り汁で続編を作った感じです。心情的には、ヴェスパーの死んだ理由を探し、復讐をしたい気持ちも分からなくはないが、最終的に本当にありきたりな結論に達します。本当に関係がない事件から、調べていくとヴェスパーに繋がる…みたいな展開の方が事件を浮き彫りに出来るので、そういうアプローチもありだと思う。007シリーズで近いのは『007 消されたライセンス』。これも復讐をするために暴れまくるという作品。個人的には『007 消されたライセンス』の方が好み。
監督は『チョコレート』『ネバーランド』のマーク・フォスター。アクション初挑戦の不安は的中し、中途半端なボーンシリーズになってしまっている。原因は編集にあると思っている。カメラワークは悪くない…多少、手持ちでブレブレ過ぎるが、中々良くできている気がする。しかし、編集によってリズムをつけようとし過ぎるので、せわしない印象を与えてしまっている。結果として、007らしさをそぎ落とし、復讐とボーンシリーズの編集とカメラワークを目指したが、全部中途半端になった残念な作品になっている。正直、007ではない。
 

点数

40点
思い出と冒頭から、シエナの裏切り者を追跡のシークエンスが終わったら、観なくてもいい気がする作品。
2015.11.28