『007 スカイフォール』感想/圧倒的な映像美と興味深いテーマ

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007 スカイフォール

スタッフ
監督
製作
製作総指揮
カラム・マクドゥガル
脚本
ニール・パービス
撮影
音楽
主題歌
アデル
キャスト

あらすじ

MI6のエージェントのジェームズ・ボンドダニエル・クレイグ)は、NATOの諜報(ちょうほう)部員の情報が記録されているハードドライブを強奪した敵のアジトを特定し、トルコのイスタンブールに降り立つ。その組織をあと少しのところまで追い詰めるも、同僚のロンソンが傷を負ってしまう。上司のM(ジュディ・デンチ)からは、敵の追跡を最優先にとの指令が入り、後から駆け付けたアシスタントエージェントのイヴ(ナオミ・ハリス)と共に、敵を追跡するボンドだったが……。
 
シネマトゥデイ(外部リンク)
 

感想

アカデミー賞監督のサム・メンデスが監督を務めた今作。脚本にはジョン・ローガン、撮影監督にはロジャー・ディーキンス、音楽にはトーマス・ニューマン、主題歌にはアデル。この陣容で、製作陣の本気度が伺えるーこいつら本気でアカデミー賞を狙っているー。そう思わせる、錚々たる面子が集結。秀逸なオープニングの音楽を背景にバイクアクション、そして空から堕ちるボンド。その流れでアデルの『Skyfall』をバックにオープニングムービーとクレジットタイトル。それだけで鳥肌が立つ。ここまでの盛り上がりは007シリーズで1番ではなかろうか。
サム・メンデスが前作のマーク・フォスター監督と同じく、アクション向きの監督ではない。前作と同じ轍を踏む可能性があったが、今作には撮影監督を務めているロジャー・ディーキンスがいる。目指したのはボーンシリーズのようなカット割りを早くした手持ち映像ではなく、圧倒的な映像美。ビルのネオンに照らされたボンド、淀んだスコットランドの風景。素晴らしい。問題はその場面に持っていく為にリアリティを犠牲にしたこと。例えばビルのネオンの中で闘うシーン、何でターゲットはわざわざ殺人を犯して隣のビルに向かい、そこから狙撃をするのか?そんな目立つことをして…。説明がないのでよく分からない。そういった細かな演出が出来てないので、物語に集中が出来ない。画が素晴らし過ぎるだけ。
テーマは007シリーズの存在意義をイングランドの過去の栄光と現在を問いかける挑戦的なもの。途中にMがテニスンの詩を引用し、これからも戦い続ける意志を表明する。正直、自分は何を観ているのか分からなかった…本当に007シリーズなのかさえも疑ってしまったほどだ。
本作で、ダニエル・クレイグ版の007は振り出しに戻った。Mは交代し、マニーペニー、Qも登場し、役者は揃った。ボンドがこれからも戦い続ける(007シリーズの続行)を高らかに宣言し、堕ちるまで堕ちた007を元の状態に戻した。完璧とは決して言わないが、圧倒的な映像美と興味深いテーマは一見の価値あり。
 

点数

70点
リアリティをもっと重視すれば、もっともっと良くなるので残念な70点。しかし、観る価値あり。

 

 

2015.11.29