『007 スペクター』感想/とても不満が残るダニエル・クレイグ最終作

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シネマかえるです。
随分前、先行上映の際に観に行きました『007 スペクター』。遅まきながら感想をアップします。
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スタッフ
監督
製作
製作総指揮
カラム・マクドゥガル
原案
ニール・パービス
脚本
ニール・パービス
ジェズ・バターワース
撮影
ホイテ・バン・ホイテマ
美術
デニス・ガスナー
衣装
ジャイニー・テマイム
編集
音楽
キャスト
デビッド・バウティスタ
 
 

あらすじ

ボンド(ダニエル・クレイグ)は、少年時代の思い出が詰まった生家“スカイフォール”で焼け残った写真を受け取る。彼はM(レイフ・ファインズ)が止めるのも無視して、その写真の謎を解き明かすため単身メキシコとローマを訪れる。死んだ犯罪者の妻ルチア(モニカ・ベルッチ)と滞在先で巡り合ったボンドは、悪の組織スペクターの存在を確信する。
 
シネマトゥデイ(外部リンク)
 
 
 

感想

ネタバレありです!
 
 
 
観た後、最初に思ったのはこれはダニエル・クレイグジェームズ・ボンドの『ダークナイト ライジング』なんだ、と。
スカイフォール』は007シリーズで最も収益を上げた作品。地に堕ちた007シリーズを見事に復活させたのは初の金髪ボンドであるダニエル・クレイグ。今では、初代ジェームズ・ボンド ショーン・コネリーに次ぐボンドとされているダニエル。シリーズ復活の最大の功労者、その最後の作品にはそれに見合った終わり方をしなければならない。その気合いが『スペクター』には感じられた。奇しくも、クリストファー・ノーラン監督、クリスチャン・ベール主演のダークナイトシリーズ最終作『ダークナイト ライジング』でも同じことを感じた。そういえば、前作の『007 スカイフォール』も『ダークナイト』に似ていた。『スペクター』では『ダークナイト ライジング』の悪いところも見事に模倣していた。
 
ガンバレルがオープニングに戻ってきたのは、嬉しいが『スカイフォール』のオープニングも捨て難い。しかし、やっと過去に007シリーズに戻ったという意味では当然の選択だろう。
舞台はメキシコシティー、ローマ、オーストリア、モロッコ、そしてイギリスであるが、1番印象的なのはメキシコシティーでの「死者の日」。長回しでパレードを映していき、ヘリコプターでのアクションに移っていく。正直、『スペクター』のアクション単体は長くて単調。前作『スカイフォール』程の画の美しさもない。メキシコシティーでは、ターゲット狙撃してビルの破壊→追いかけっこ→ヘリコプターでのアクションと終わったかと思わせておいて、アクションが続く。蛇足感が強く、スマートではない。
 
物語は、犯罪組織「スペクター」の黒幕オーベルハウザーとボンドが繋がっていて、オーベルハウザーがボンドにちょっかいを出していたという話。これまでの敵、ル・シッフルやグリーン、シルバがオーベルハウザーの差し金だったという展開。それをやるのはそれまでの作品で伏線がないので、唐突。オーベルハウザーにそれをまとめる程の魅力があれば話は違うかもしれないが、クリストフ・ヴァルツではそこまでではなかった。気持ち悪い感じは良かったが…。また、ボンドとオーベルハウザーは義理の兄弟で、オーベルハイザーがボンドが来たせいで父を殺したという過去があったそうだが、それも無理やり感がある。ボンドの親を何度も殺す必要があるのか?『スカイフォール』のネタが同じ。それなら、ボンドの実の親の死の真相に関わっているみたいな展開にした方がいいのではないのか?
 
ボンドが「スペクター」と繋がっていく過程で『カジノ・ロワイヤル』と『慰めの報酬』に登場した、ミスターホワイトとその娘のマドレーヌがキーとなってくる。『スペクター』を単体で観た人はミスターホワイトとマドレーヌに手を貸すボンドを応援すると思うが、ダニエル・クレイグのボンドを観てきた自分にとってはミスターホワイトの行った所業を許せない。なので、ラストにマドレーヌと結ばれる『女王陛下の007』をオマージュしたラストも納得できない。レア・セドゥーも悪くはないが、ヴェスパーを演じたエヴァ・グリーンには遠く及ばない。
 
アクションにはキレはなく、アッと驚く秘密兵器もない。カーアクションは中々面白いがやっぱり長い。ある程度の満足して観れるが、ダニエル・クレイグのボンドをこよなく愛しているので、今回の作品には不満が多かった。
 
最後にサム・スミスの曲と映像はヒドいです。曲は自分の趣味の問題ですが、映像は何故にタコ?
 
 

点数

30点
ボンド映画、ダニエル・クレイグのボンドの最終作としてはとても不満が残る作品でした。
また、ダニエル・クレイグがそのままボンドを続けることはないですよね?