『バケモノの子』/どいつもこいつもエゴむき出し

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2015.8.14 TOHOシネマズ新宿 21:50〜鑑賞

ネタバレありで行きます!
 
 
 
 
 
 
 
【あらすじ】
 
人間界「渋谷」とバケモノ界「渋天街」は、交わることのない二つの世界。ある日、渋谷にいた少年が渋天街のバケモノ・熊徹に出会う。少年は強くなるために渋天街で熊徹の弟子となり、熊徹は少年を九太と命名。ある日、成長して渋谷へ戻った九太は、高校生の楓から新しい世界や価値観を吸収し、生きるべき世界を模索するように。そんな中、両世界を巻き込む事件が起こり……。
 
シネマトゥデイ(外部リンク)
 
 
 
 
 
【点数】
 
 
 
 
 
45点!!!
 
 
 
 
 
 
【感想】
本作に関しては感想をネチネチと言っても伝わりません。いくら語っても語りきらないです。
ですので、良かったところをパッパッと紹介して、良くなかった点を5つに絞って書きます。
 
では!
 
良かった点
そして、大泉洋!!!
 
とっても良かったです!!!
 
まあ、皆さん実力がある方ばかりなので、上手くて当然…でしょうが、やっぱり良かった(笑)
 
それに、大泉洋!!!
前情報で出演していることを知らなかったのですが、声を聴いてても全然気付かない!『水曜どうでしょう』をラジオやBGM的な感じで大泉洋の声を聴いていたのに全然気が付かなかった!スゲー!
 
役所広司リリー・フランキーは言わなくても分かりますよね。圧倒的な存在感です!
ですが、リリー・フランキーをあの役どころで使うのが、また新しいですね(笑)役所広司の熊徹はまあ、予想通り(素晴らしい!)ですが、リリー・フランキーは想像出来ませんでしたね〜。深い声が響きます。
 
…はい、褒めるのはそれ位にしましょう
他の俳優さんについてはノーコメントで
 
良くなかった点に行く前にまず、前提を言っておきますと、良くなかった点は星の数ほどあります。ツッコミどころは5つどころではないです。ですが、それをいちいち書いていくのは大変(面倒)なので、大きく5つのポイントに絞って書きます。
 
これから色々文句を垂れ流していきますけど、途中までは楽しんでいましたよ。九太が大きくなる前までは(笑)
 
それと、基本的に設定と演出に問題がありますので、悪しからず…
 
 
 
良くなかった点5つ!
1、キャラクターがセリフで状況から心情まで、すべて説明していた
2、人間界とバケモノ界の設定
3、熊徹と血の繋がった父
4、一郎彦との関係
5、熊徹が刀になった事について
 
はい!
この5つですね。では、詳しくいきましょう。
 
1、キャラクターがセリフで状況から心情まで、すべて説明していた
今流行りの説明過多が目をつむれないほど酷かったです。何で、あんなに説明をしちゃうのですかね?
例えば、初めてバケモノ界に来た九太がとっさに元来た道を戻ろうとすると、道が壁になっていた場面で、九太は「あっ!元来た道がない!」って言いましたけど、「道がない」でいいですよ。宮崎駿なら何も言わないかもしれません。
あと、九太が成長して、熊徹と稽古をしているのを遠くから宗師と猪王山が見ていている場面で、「九太も成長しましたね」「ああ、しかしよーく見ろ。熊徹の動きも良くなってきとるぞ」「本当だ。動きが洗練されてきている」それを映像で示せよ!セリフが一言一句合っている訳ではありませんが、似たようなことを言っていました。
観客は分からないと思ったのか、伝わらないのが心配なのか…前者ならそんなに客はバカではないですので、大丈夫です。後者ならもっとアドバイスをくれる方がいたら大丈夫では?
まあ、どちらでもいいのですが、酷いので止めて下さい。コメディのようにしか見えません。
 
2、人間界とバケモノ界の設定
人間界の渋谷とバケモノ界の「渋天街」がつながっているというのは別に良いのですが、どうやったら入れるのかとか、バケモノが人間界に入れて、人間がバケモノ界に入れない理由とかを説明しないと中々納得できないですよね。『千と千尋の神隠し』みたいに森の奥みたいな場所で、普通は入ってこれない設定があり、そういう演出がなされているなら良いですが、されてませんよね(笑)
最初に熊徹と九太が出会ったのは渋谷ですので、バケモノは人間界に入れるみたいで、その後九太は熊徹を追ってバケモノ界に入ってますので、人間も普通に入れるみたいなので、じゃあ何でバケモノ界の存在を人間は知らないのか…
また、『バケモノの子』は九太が大きくなって、楓と会ってから色々とオカシクなって行くのですが、簡単に人間界に戻れる…しかも一度戻ってからはなんどでも行き来することが可能。本当にずさんな設定ですね。
また、過去に人間がバケモノ界に来ていた様なので(宗師の発言から)、どういったことがあったのかを説明してください。要らない説明をクドクドやるなら。
 
3、熊徹と血の繋がった父
『バケモノの子』は熊徹と九太の絆の物語だと一応思っていますが、かなり薄っぺらいです。ペラペラです。おそらく、理由は実の父の居場所を知ってからだと思いますが、その後九太の行動が本当に意味が分かりません。9歳の小学生を拾ってくれた熊徹にあんな無礼な態度をするようなやつを主人公というのはこの作品の弱さですね。九太と熊徹の関係は普通の親子の関係ではないです。親に裏切られた九太を育ててくれたのが、熊徹なので、普通の親子関係以上のものを見せないといけないのですが、ただの思春期の親子ゲンカをやってます。ペラペラです。しかも、よりによって裏切ったと思っている父親を選ぼうとする。何でしょうか?真面目に考えて作ってますか?ここらへんはワンカットごとに首をかしげました。
 
4、一郎彦との関係
基本的に一郎彦と九太との接点がないので「なんか一郎彦怒ってんなー」って感じです。よくわかりません。それ以前に一郎彦が人間だということはスルーして下さいってことなんですかね?ただの帽子を被っている人間ってのは、知ってて展開を見守れってことなんですよね!細田守監督!それならそれでいいとしますが、もうちょっとキャラデザを考えたほうが良いのでは?
一郎彦のことがよく分からんことは置いておいて(楓との話を無くして一郎彦との関係を増やした方がいいと私は思いますが、そこはスルーしましょう)、それ以上に大切なのは、人間が何であんな胸に風穴をあける様に進化しているかの説明ですよね。きっと、宗師が詳しく説明してくれると思ったらスルー。刀を鞘から出しちゃいけないのと同じだったら、尚更語ってくれないと!なんか、人間人間ばっかり言ってますけど、何がダメなのか言え〜
 
5、熊徹が刀になった事について
はい!待ちに待ったラストバトル!
ラストバトルはバケモノになってしまった一郎彦と渋谷での対決です。バケモノよりバケモノになってしまった一郎彦ですが、全くリアリティーがない感じになりました。本をペラっとめくって「鯨」とつぶやき、そのまま鯨に大変身という本当に意味不明な演出。どこを読んで、鯨になろうと思ったのか?ずっとバケモノ界暮らしだったのに鯨って漢字は読めたのか?しかし、そんな些細なことは気にならないくらいの展開が観客に待ち受けています。
ピンチの九太の前に刀が現れます!そうです!熊徹が刀になったのです。修行を始めた頃に熊徹が九太に「心の中にある刀」といったことを言ってましたけど、それは比喩ではなかった(笑)本当に刀になってしまったのです。意味が分かりません!「心の中にある刀」って自分で見つけないと意味ねーんじゃねーの?親が子供を信じねーでどうするの。親のエゴで子供の成長のチャンスを逃してしまったんですよ!九太も熊徹も細田守もみんなエゴばっかりで疲弊します。
 
って感じかな?
最後にこの作品は映画館で観るよりも、家で仲間とワイワイツッコミながら観るのが1番良いのかもしれません。
 
 
 
 
 
【まとめ】
 
時をかける少女』を観た時は感動で震えましたが、それっきりでしたね…
細田守監督作は期待外れが続いています。
 
次はまた『時をかける少女』路線でやってほしいものです。
千と千尋の神隠し』のオマージュをやっているヒマがあったらね。
 
では、ケロケロ!
 
2015.8.28