PAN ~ネバーランド、夢のはじまり~ 感想

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PAN ~ネバーランド、夢のはじまり~

スタッフ

監督

ジョー・ライト

製作
グレッグ・バーランティ
サラ・シェクター
ポール・ウェブスター
製作総指揮
ティム・ルイス
脚本
ジェイソン・フックス
キャスト
リーバイ・ミラー
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あらすじ

ロンドンの児童養護施設で生活している少年ピーター(リーヴァイ・ミラー)は、ある日生き別れた母(アマンダ・セイフライド)が残した手紙を見つける。その後、冷酷な海賊・黒ひげ(ヒュー・ジャックマン)が立ちふさがる異世界ネバーランドにたどり着く。そしてピーターは、若いころのフック船長(ギャレット・ヘドランド)や女戦士タイガー・リリー(ルーニー・マーラ)と出会い……。
シネマトゥデイ(外部リンク)
 
 

感想

多少ネタバレあり!

 

 

幕が上がり、企業のロゴが出る。『ワーナー・ブラザーズ

あれ?

ディズニーじゃない?

その時点で、かなりの不安を覚えた。ピーターパンの前日譚を描くと謳われている本作。そう言われれば、最後にはピーターパンの設定になると想像するのは普通ではないだろうか?だが今作はそんな期待を裏切り、ピーターパンの物語と何のつながりもないようなエンディングを迎える。ピーターパンってどんな話だったっけ?この前日譚は3部作にでもする気だろうか?ツッコミどころは数多くあれど、思い返すときに一番引っかかるのはこの部分である。結局、ピーターパンの前日譚として、見たいものは何一つとして見せてくれない。エピソード0というより、リブート作に思える。

それ以外のツッコミどころは、世界観の設定である。黒ひげは色々な世界(過去と未来)で人をさらっているようであるが、わざわざそんなことをする意味はなんなのか?ネバーランドの世界はあの島しかなくて、人手不足ということなのだろうか?説明がないので、想像するしかない。あと、パンが連れ去られるシーンには今年一番失望をした。天井から海賊が降りてきて、狩りをするように子ども達を誘拐するシーンはいかがだろうか?最初は2人がいなくなったと言っていたが、今回は全員を連れて行くような勢いで誘拐をしていた。あと人身売買なのか、誘拐なのかよく分からない。等々、人によってはワクワクするかもしれないが、気になる箇所が多すぎて物語に集中できない。演出が悪い。エドガー・ライト監督はどちらかというと、『プライドと偏見』、『つぐない』など良作を連発していたが、最近は今作を含め微妙な作品が増えているような気がする。今作では、心情的な描写がヒドイ。またそれを補ってあまりある、海賊船の戦闘シーンやパンの飛翔シーン。3D向けの美しいシーンがこの作品を持たしている。エドガー・ライト監督はどちらかというと心理描写が巧みな監督だと認識していたので、今回は本当にガッカリした。パンの葛藤がステレオタイプ過ぎるのだ。逆にビジュアルはとても良かったので、色々な意味でこれ以降が楽しみである。

今回は時間の関係で日本語吹き替え版を観たが、そんなに悪くはなかった気がする。多少、成宮の滑舌が悪くのが気になるが、それ以外は良かった。ヒュー・ジャックマンが歌うシーンがあるので、歌声を聴きたいのであれば字幕版をおすすめする。

 

点数

30点

ピーターパンと過度に期待しないで3D効果満載の画を楽しむ映画とすればまあまあ面白く劇場を出れると思う。だが、やはりピーターパンとフック船長の関係が敵同士ではなく、反対に仲がよく終わるのには納得できないし、脚本も演出も納得できない。

 

2015.11.18