『ブラックパンサー』日本人には理解が難しい⁈黒人による黒人のためのヒーロー映画【ネタバレあり・評価】

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2018年はマーベルの年となった。『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』や『アントマン&ワスプ』が公開・大ヒットしたことはもちろんだが、その中でも『ブラックパンサー』の登場は、アメコミ映画の新たな扉を開いたと言っても過言ではない。アフリカ系のスタッフ・キャストで固めて製作された世界初の作品となった今作は、北米では『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』を超えるヒットで2018年ナンバーワンの映画となった。内容も絶賛の声も理解できる出来栄えだったと思う。

ブラックパンサー 映画 感想

引用:ブラックパンサー公式サイト
目次

 

作品情報

あらすじ

アフリカの超文明国ワカンダの若き国王ティ・チャラが、漆黒のスーツと鋭い爪を武器に戦うブラックパンサーとして活躍する。絶大なパワーを秘めた鉱石「ヴィブラニウム」が産出するアフリカの国ワカンダは、その恩恵にあずかり目覚しい発展を遂げてきたが、ヴィブラニウムが悪用されることを防ぐため、代々の国王の下で世界各国にスパイを放ち、秘密を守り通してきた。父の死去に伴い、新たな王として即位したティ・チャラは、ワカンダの秘密を狙う元秘密工作員の男エリック・キルモンガーが、武器商人のユリシーズ・クロウと組んで暗躍していることを知り、国を守るために動き始めるが……。引用:ブラックパンサー : 作品情報 - 映画.com

キャスト

チャドウィック・ボーズマン
マイケル・B・ジョーダン
ルピタ・ニョンゴ ダナイ・グリラ
マーティン・フリーマン
ダニエル・カルーヤ
レティーシャ・ライト
ウィンストン・デューク
アンジェラ・バセット
フォレスト・ウィテカー
アンディ・サーキス
フローレンス・カスンバ
ジョン・カニ
スターリング・K・ブラウン
アタンドワ・カニ
デンゼル・ウィテカー
セバスチャン・スタン

スタッフ

監督

ライアン・クーグラー

製作

ケビン・ファイギ

製作総指揮

ルイス・デスポジー

ビクトリア・アロンソ

ネイト・ムーア

ジェフリー・チャーノフ

スタン・リー

共同製作

デビッド・J・グラント

原作

スタン・リー

ジャック・カービー

脚本

ライアン・クーグラー

ジョー・ロバート・コール

撮影

レイチェル・モリソン

編集

マイケル・P・ショーバー

クローディア・カステロ

上映時間

134分

公開日

北米公開

2018年2月16日

日本公開

2018年3月1日

制作費・興行収入

制作費

$200,000,000 (推定)

興行収入

北米: $700,059,566

全世界: $1,347,071,259

引用:Black Panther (2018) - IMDb

ブラックパンサー』のネタバレあり感想・レビュー

最高のビジュアルのブラックヒーロー誕生

ブラックパンサーは「バットマン」に次ぐ、新たなダークヒーローである。

ブラックパンサーの初登場は『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』。今作では『シビル・ウォー』の1週間後が舞台となっている。

まるで『ダークナイト』をイメージするかのような夜の戦闘シーンの連続で、暗闇に紛れて敵を倒す文字通りブラックヒーローの戦い方が見ることができ、お披露目がメインの『シビル・ウォー』の昼間の戦いとは大きく違う。

暗闇の中から見える黒豹をイメージしたブラックパンサーのスーツのビジュアルは秀逸。アイアンマンやウォーマシンといった、いかにもロボットといったビジュアルとは正反対でとてもシンプルだ。

ブラックパンサーには、ロケットなどの飛び道具はついておらず、ヴィブラニウム製の爪か、ダメージを蓄積して相手に跳ね返す衝撃波、そして己の肉体で戦闘を行う肉体派のヒーローである。スーツには物語のキーとなる鉱石ヴィブラニウムを使っているため、ダメージは少ないようだが、敵に好きなようにやられても立ち上がる姿には、王様でありながら泥臭いヒーローであることを示している。黒人が受けてきた歴史を見事に象徴するブラックヒーローである。

個人的には、全てを犠牲にして戦うバットマンの方が断然好みである。トラウマであるコウモリをシンボルとして、肉体にドーピングをせずに生身の身体で戦う彼こそがダークヒーローだと思うのだ。だが自分自身ではなく、王様として王国の影として戦うブラックパンサーも、ダークヒーローとして相応しいと思う。

中盤で、ティ・チャラが王位を奪われて瀕死の状態になり、そこからの復活する展開には、胸が熱くなるし、『ダークナイト』や『007』で良くある、スーツの新機能を使ったジョークも好きなのだが、どこか乗り切れなかったのが正直なところ。

マイケル・B・ジョーダン生身の演技が光る、新たなヴィラン

ブラックパンサー』のヴィラン「キルモンガー」を演じるのは、マイケル・B・ジョーダン。監督のライアン・クルーガー。ライアン・クルーガーの「フルートベール駅で」「クリード チャンプを継ぐ男」で主演を務めており、今回で3回目のタッグとなる。

キルモンガーは叔父の前国王ティ・チャカによって父を殺され、その復讐と父の悲願達成のため、ワカンダを王位を狙っている。

正直、彼が主役と言っても過言ではないほどのヴィランである。人間味に溢れ、冷徹かつティ・チャラを超えるパワーを持っている。ヴィランとして多くの魅力を持っているのだが、演じるのは黒人俳優で、もっとも勢いがある若手俳優である、マイケル・B・ジョーダンこそが最大の魅力だと思う。

マイケル・B・ジョーダンの完璧な肉体に、何をしでかすかわからない不安定さ。それでいて、青年が虚勢を張っているかのような弱さ。その弱さが王国に乗り込み、ティ・チャラに王位をかけた決闘を申し込むシーンに全てが集約されているように思う。自信満々にティ・チャラの前に現れ、自分の正体を明かす時の怒りと悲しみ、そして決意が入り混じったかのような表情を見せる。ジョーダンの屈指の演技を見ることができる。

また、今作を渋谷の劇場で鑑賞したのだが、日本とは思えないほど外国人が多く、外国人の女性はマイケル・B・ジョーダンの身体に、キャーキャー声を出して喜んでいた。正直、イケメン教師の授業を受けている女子高生のようなうっとうしさで、大変目障りだったのだが黒人にとって彼は相当な人気かつ魅力的であるということは理解できた。そういう珍しい体験ができたのも、この映画だったから、と納得をすることにしよう。

何故ここまでヒットしたのか?世界初の黒人ヒーロー映画

今回の舞台は、ワカンダというアフリカの国(どう見ても街や村のような規模感だが、それは『マイティ・ソー』の「アスガルド」でも感じることではあったので、スルーすることにする)。ヴィブラニウムという宇宙から落ちてきた恵みによって、地球でもっとも高度な文明となったワカンダは、そのことをずっと他国に隠してきた。まさに黒人にとってユートピアとも言えるワカンダの国王が、隠れて世界を救うヒーローとして影ながら戦っている展開は、まさに黒人の理想を具現化したかのような世界だ。

何せ、世界の中心は間違いなくワカンダなのだ。その世界をスタッフ・キャストがほぼ黒人で制作されたというのは、これまで迫害を受けてきた黒人にとっては画期的なことで、こぞって映画館に見に行ったことは想像に難くない。しかしそのパワーで、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』を超えるヒットを生み出すことができたということに意味があるのはないだろうか。

 

とまあ、色々書いたのだが、結局のところ黒人じゃないとこの映画の価値がよくわからないというのが正直なところ。

物語単体で言うと、良くできてはいるが、大絶賛するほどの作品ではなく、黒人が作り上げたヒーロー映画としての価値で、特大の大ヒット、そして『ダークナイト』や『ローガン』が叶わなかったアメコミ史上初のアカデミー賞ノミネートまで勝ち取ってしまうことが驚きなのだ。黒人の魅力いっぱいの作品で、ここまで需要があることを示すことができた歴史的な一作である。

アベンジャーズとの接点

ブラックパンサーは、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』にすでに登場しており、今作では、ブラックパンサーはもちろんのこと、『シビル・ウォー』にも登場していたマーティン・フリーマン演じるCIAのロスも出演している。

マーベル・シネマティック・ユニバース』では、次作が『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』となっており、ヴィブラニウムが今後大きな役割を果たすことが予想される。もちろん、ブラックパンサーも登場予定で、エンド・クレジット・シーンは『シビル・ウォー』ヒドラからの洗脳を解くために冷凍されていたバッキーが目覚めるシーン。いよいよ『アベンジャーズ』への準備万端ということで幕を閉じる。

『シビル・ウォー』の続編、『インフィニティ・ウォー』の前作という位置になるかと思う。

「CK」の評価

評価:良作

黒人や製作の背景を抜きにすると、個人的にはあまりハマるポイントが少なかった一作。だが、決して良くないわけではないので、見て欲しい一作ではある。

 

マーベル・シネマティック・ユニバース作品はこちら

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