『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』すべてはダース・ベイダーのために【ネタバレあり・感想】

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スター・ウォーズ』初の実写スピンオフであり、アンソロジー・シリーズの第1作目。ディズニー制作の『スター・ウォーズ』としては第2作目となる本作は、『スター・ウォーズ』オリジナル3部作よりも、スター・ウォーズっぽい作品となっていた。控えめに言っても見事な完成度を誇る、傑作だったと思う。

 

 

 

スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ』の悪夢

スター・ウォーズのスピンオフと言われれば、『スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ』の悪夢を思い出す。『クローン・ウォーズ』は、『エピソード2/クローンの攻撃」と『エピソード3/シスの復讐』の間に行われていた「クローン戦争」を描いている。勇んで映画館で鑑賞をしたのだが、結果としては乗り切れず、非常に苦い思いした記憶がある。なぜ、乗り切れなかったのか、私が出した答えは、「フォースをアニメで描くのは無理があった」ということだと納得させた。とまあ、スター・ウォーズのスピンオフには不安があった中で『ローグ・ワン』を鑑賞した。

 

『エピソード3/シスの復讐』と『エピソード4/新たなる希望』の間の物語

『ローグ・ワン』は、『エピソード3/シスの復讐』と『エピソード4/新たなる希望』の間の物語だ。しかも、エピソード4の10分前までが描かれているのだ。なぜ、最終兵器であるデス・スターの設計図を反乱軍が手に入れることができたのか、デス・スターに何故弱点があったのか?その謎が全て明かされるというので、オリジナル3部作からのファンはずっと気になっていた謎が解き明かされる、注目の一本であろう。

 

スターウォーズのお決まり外した戦略

今作では、スターウォーズの始まりと言えばこれ!と皆が思う、オープニング・クロールが存在しない。斜め上に流れていく、タイトルと文字、そしてBGMにはジョン・ウイリアムズのスターウォーズのテーマ!あれでスターウォーズが始まったと実感するものである。『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』では、そのオープニングだけで、涙が出たものだ。『ローグ・ワン』はスピンオフであり、スターウォーズシリーズとの差別化の為などの理由でカットしたのだろう。それはそれで、新鮮だったがらスターウォーズならではのものなので、やはり残したほうがよかったと思う。

 

フォースの登場しないスターウォーズ

また今作では、フォースが操れるものがほとんど出てこない。『エピソード3/シスの復讐』のオーダー66で、ジェダイがほぼ全滅した後なので、フォースの操れる人物がスターウォーズ世界にいない状況ではある。そのため、ジェダイ滅亡から18年の間で、フォースの存在は多くの人々には忘れられたのだと想像できる。辺境の星では、『エピソード4/新たなる希望』のハン・ソロのように。

今作で登場するチアルート・イムウェは、盲目でありながら圧倒的な力を発揮するが、フォースの使い手ではない。しかし、フォースの存在を強く信じている。彼のみならず、反乱軍の面々などもまた、フォースの存在を信じており、フォースを信じることで、帝国の支配前の平和な時がまた戻ってくると信じているようだ。それこそが今作のすべての者たちの中にある希望であり、フォースそのものは登場しないが、フォースの存在を強く感じる要因なのだと思う。

『新たなる希望』の伏線をすべて回収

今作では、主人公のジンの父親で、デス・スターの開発に携わったゲイレンがデス・スターの弱点を作っていたことが明かされる。『エピソード4/新たなる希望』でデス・スターの弱点や、設計図などが登場していたが、どうやって入手したかは、全くの不明だった。そこに着目し、膨らませて『ローグ・ワン』を作った着眼点は流石であり、『新たなる希望』へと繋がる物語としては、完璧に近かったと思う。

最高レベルのスペースバトル

惑星スカルフでの戦いは、かつてのスターウォーズでの暗い惑星のイメージとは全く異なり、ビーチでの帝国軍との戦いは、ビジュアルとしては新鮮だった。まるで、天国かのような青と白のコントラストがまぶしく、まるで全てのジンやキャシアンなどの戦士たちを優しく迎え入れるような場所を監督のギャレス・エドワーズが選んだように感じた。それ以外にもデス・スターのスーパーレーザー砲による惑星の消滅を惑星内の視点からじっくりと描いている点や、スペースバトルは、数で勝負した『エピソード3/シスの復讐』とはまた違い、見せ場がそれぞれにあった。スピンオフではあるが、スターウォーズという名に恥じることがない、アクションシーンとビジュアルの連続であった。

 

すべてはダース・ベイダーのために

とまあ色々書いたが、結局のところ最後のダース・ベイダーにすべて持っていかれてしまう。当初は、ダース・ベイダー全盛期ということもあり、もっと前面にでてくると思ったが、登場シーンは2回。しかし、圧倒的な存在感を放っている。特にラストのライトセーバーを使ったアクションは、屈指のできばえで、それを見れただけで、今作を見た価値がある。登場している時間の短さについての不満はすべて吹き飛ぶほどだ。ぜひ、最高のダースベイダーを見てほしい!