『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』このキャラクターをハン・ソロだと受け入れられるかどうか【ネタバレあり・感想】

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ディズニー製作の『スター・ウォーズ』アンソロジー・シリーズの第2弾。スターウォーズのキャラクターの中でも屈指の人気を誇るハン・ソロを主人公にしたスピンオフ。頭空っぽで楽しめる冒険活劇になっているが、ハン・ソロであることに意味が見出せない。

オールデン・エアエンライク版のハン・ソロについて

まず、ハン・ソロ役のオールデン・エアエンライクについてだが、よくハン・ソロの特徴を捉えていたと思う。ジョージ・ルーカスが生み出した、スターウォーズの中でも屈指の人気をキャラクターであり、ハン・ソロハリソン・フォードのイメージが染みついているキャラクターをうまく自分のものに昇華していた。監督のロン・ハワードが作り上げた世界観、西部劇を思わせる素晴らしいセットと見事にマッチしていたし、上手くハリソンのアウトロー的な雰囲気が継承されていた。「顔が全然ハリソン・フォードと違うじゃん!」というのは御門違いであるので、思っていても突っ込むことはやめよう。

 

スピンオフとしての価値

だが、オールデン・エアエンライクの頑張りについては認めるが、やはりスターウォーズのスピンオフとしての価値は見出せない。フォースは登場しないし、馴染みのある惑星も出てこない。帝国軍ぐらいしかスターウォーズっぽさは少ない。例えばアベンジャーズなどのマーベル・シネマティック・ユニバース作品なら、『アントマン』でスタークの名前を出したりするなど、ちょっとした作品間のリンクが嬉しかったりするのだが、今作はそういう作りでもない。スターウォーズシリーズとの関連が薄いのだ。『フォースの覚醒』は、過剰なまでに、オリジナルを想起させる演出を繰り返していたのとは、別のアプローチであり、『ローグ・ワン』は、オリジナルの登場人物の登場が少なくても『エピソード4/新たなる希望』との関連性が強かった。

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チューバッカが登場し、ハン・ソロが見慣れてくる中盤以降は、ようやく安心して見ることができる。ランド・カルリジアンとミレニアム・ファルコンが登場したシーン(ファルコンは『フォースの覚醒』ほどではないが)は、テンションが上がったし、チームで共闘する奴隷が働かされている鉱山のシークエンスはとてもハラハラしたし、単純に面白かった。意味を持たせるなんて考えなければ、単純に楽しい一本になっている。スターウォーズファン以外でもライトに楽しめるだろうし、むしろ色々考えない分、そっちの方がいい気もする。ハリソンのことを忘れ、ハン・ソロの映画であると思えればこれほど楽しい映画はないのかもしれないと思うほどだ。それがもっとも難しいのかもしれないが…

それと、ハン・ソロ役のオールデン・エアエンライクは、ライアン・ジョンソンが制作する新スターウォーズシリーズにも参加する噂があるようだ。今作は新スターウォーズシリーズの前に、新ハン・ソロを出すお披露目会のようなものだったのかもしれない。終盤で、ダース・モールが登場したのも新スターウォーズシリーズが絡んでいるから、と考えれば納得がいく。となれば、スピンオフの価値が少しは出てくるかもしれない…

 

ハン・ソロやランドのキャスティングがもっとも困難だったと想像できる。誰になろうが批判されるのに、よく役を引き受けたと思うし、いい配役であったのではないだろうか。『ローグ・ワン』ほどの熱さは感じなかったにせよ、さすがロン・ハワードと思える手腕で、スターウォーズシリーズとはまた違った一本に仕上がっている。

最後に、今作のタイトルロゴはシンプル過ぎて何の面白みもないことは伝えたい。日本語版だからかと思ったが、海外版も同じくヒドい。他のに変更できなかったのかと思う。